一回目は朝焼けの空。
二回目は月夜。
本プロジェクトもこれで三回目の参加。
ともに、いろんな思いが交錯した空だったが、今回で最後の「思い出に残っている空」については、私の記憶にしか残っていない空、そして故郷だ。
時は、数年前のことになる。
その空は、あるローカル線の駅に降り立った時にみた、鉛色をした粉雪まじりの空だった。
その時の私は、空き家になった実家が廃家になったので、正月明けに風邪をおして、単身、家の売却に伴う、片付けに行き、約2週間強で、先方への引き渡しの事務手続きを待つまでにこぎつけた。
その間の数日を、新幹線を使い、我が家に帰る時間や労力を考えると、疲れがひどく、親戚の家に数日お世話になることした。
体の疲れは酒でごまかしたが、心には、帰るべき場所を失くしたという喪失感で、一種の虚脱状態だった。
始発駅は晴れて青空だったが、親戚の家がある山間部の駅まで、約1時間半。
降り立った駅は、駅舎は立派だが、人気はなく、まだ時間は30分以上あったが、駅頭に出てみると、午後の3時頃だというのに、周囲の山は白い雪を被り、空は鉛色で、粉雪が舞っていた。
まるで、俺の心を見透かすような空だと、煙草をくゆらしながら、空を見上げていると、子供時代を過ごした山陰の田舎町を思い出したが、それも、なぜか、雪の日。
山陰では、晴れ渡る日が少ないのである。
そんな、ノスタルジーに浸っていると、聞こえてきたのが、後で、歌手名を知った「いい日旅立ち西へ」であった。
寒さの中、そんな空を見上げて、煙草を続けて、また一本。
しかし、さすがに、寒さに耐えかねて、誰もいない待合室に入った。
そこで、寒さをしのぎ、故郷の空や、失くした家等をぼんやりと考えている間も、ひっきりなしに繰り返し流れる歌。
いつしか、うとうとしていた。
物音で、顔をあげると、二人の女子高生。
そこで、時間に気付き、また、外に出たが、まだ、鉛色の空からは雪が舞い落ちていた。
そろそろ時間だと、また、一本。
そんな、昔話だ。
追記:写真は同町観光協会の広報誌よりお借りした。
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テーマ : こころ - ジャンル : 心と身体
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