ドラマと原作について・・・「ゴッド・ファーザー」と「砂の器」

 ドラマと原作のどちらが好きかということになると、これは一概に、一般論としても、個人的にも、どちらに軍配を上げるというわけにはいかないだろう。

 というのは、原作をドラマ化する場合の脚本が重要だと思う。

 脚本の良しあしで、ドラマが決まると言ってもよい。

 極論すれば、脚本が50%よければ、監督さん、俳優さん、撮影、音楽は残りの50%を占める。

 そう言った意味で、二つの例を挙げてみたい。

 取り上げた題材が古いのは、歳のせいで、ご勘弁願う。


 まずは、原作が圧倒的に良いのは、あの「ゴッドファーザー」である。

 映画も良かったが、原作には、その当時の時代背景も含めて、イタリア系移民の兄弟が、やがてゴッドファーザーという、マフィアのボスになっている過程が事細かに描かれている。

 もちろん、フランシス・フォード・コッポラ監督の名作で同名の「ゴッド・ファーザー」も第一部は良かったが、二作、三作目と質が落ちた。

 「ゴッド・ファーザー」は、アメリカの作家、マリオ・プーゾが1969年に発表した作品。

 日本では早川書房から、一ノ瀬直二さんの訳で出版された。全2冊の文庫本である。
 
 当時のアメリカ社会でのイタリア移民の立場、そして、家族を守り生き抜くための術としての、非合法の稼業に身を投じていく姿が、リアリズム満点のタッチで、且つ、一の瀬直二さんの名訳で、叙情豊かに描かれている。


 次に、反対の例。

 これは、松本清張さんの「砂の器」。

 これは、原作にも、松本さんらしく社会性が色濃く現れおり、社会派小説としても、ミステリーとしても周作だったが、野村芳太郎監督になる1974年の映画「砂の器」は、まさに、映画史に残るといってもよい名作だ。

 これは、脚本が素晴らしかった。

 何しろ、橋本忍さんと山田洋次さんが手がけたのである。

 主演された俳優さん、撮影、音楽と三拍子そろった名作。

 ご記憶にとどめておられる方も多いと思うが、病を患った親子が、雪降る山陰海岸を彷徨う映像は、一生心に残るものだ。

 当時も話題を呼んだ作品だが、今でも、デジタルマスターDVDが発売されているという。

 本作を見ずして、日本映画を語るなかれといってもよい名作。

 これぞ、映画製作スタッフのコンビネーションが、原作を超えた作品を生み出したと思う。

 これが、人生いろいろであり、原作にせよ、ドラマにせよ、いろいろの所以かもしれない。
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